大きな会場を舞台に、コーラスなどの演奏会を行うご同輩の話はこのコラムにも紹介されているようにいろいろ聞いていましたが、自分には縁のないことと思っていました。ところが、去る5月31日に日本橋三越の三越劇場の舞台に出ることになったのですから、分からないものです。(3枚の写真はクリックすると大きくなります)

  私の家内は(財)春日会に所属する小唄の師範(芸名:春日とよ芝道)で10年来自宅に稽古場を開いています。師事している春日会会長・春日とよ栄芝師匠のお声掛かりで初の芝道会の見台開きを主催することになりました。1年以上前に三越劇場を予約し、開催に向けて準備が始められ、その際私もどうかということになり、末席を汚すことになりました。春日会については以下のウエブ参照。

       http://www14.ocn.ne.jp/~kasuga/index.html

   そもそも稽古の実験台になったことで手ほどきを受けていましたが、その後は新年の稽古始めのお付き合いとして年に2、3曲を新しく覚えた程度でした。その中から上演曲目3曲を決め稽古を付けて貰ったわけです。

   開催にあたり一番の問題は、1階だけで400ある座席をいかにして満たすかでした。結果的には劇場側も予想外という盛況になりましたが、多くの方々に協力していただいたおかげと感謝感激しています。

   小唄の会の舞台は、大勢で合奏する場合と踊り(小唄振り)が入る場合は舞台全面を使いますが、通常は舞台上に左右二つの小舞台を設け、交互に幕を上げ下げします。片方で演奏している間に他方でスタンバイします。一曲は1〜3分程度ですから、一時間に20番程度プログラムが進行します。今回の番数は春日会の師匠方の応援出演もあり106番でした。

   さて、初舞台です。前の演奏が終わるのを待って舞台に入り緋毛氈の上に正座し見台に歌詞を置き隣の演奏が終わるの待ちます。やはり緊張の一瞬です。隣の演奏が終わり拍手が聞こえ幕が下りる音がします。ベルが鳴ると頭を下げ、幕の上がるのを待ちます。頭を上げると目の前のライトが明るく客席はほとんど見えない。三味線方からのかけ声によってうたいはじめ 、あとは三味線の音とかけ声と歌詞に集中し、無我の境地。

   最後の一節をうたい終わり、三味線のあと弾きが済むのを待って、頭を下げると拍手と同時に幕が下りる。三味線方に一礼する。幸い大きなミスもなくうたい終えることができたとほっとすると共に達成感に満たされるという次第。うたう時間が短いので、上がる暇もないのが小唄のいいところかも知れません。

   ということで2回舞台に上がり自己満足に浸っていましたが、後日録音テープを聴くに及んで、随所にアラが目立ち、これを皆さんに聴いていただいたのかと申し訳ない思いになったことも申し添えます。化学系でご来場いただいた大島さん、大橋さん、椎名さん、出山さん、中田さん、森さんには深くお礼申し上げます。

   もし小唄の世界に興味をお持ちでしたら近く開催される会をご紹介しておきます。
        6月29日 (月)春日会
        7月12日(日)栄芝会(小唄振りあり)
   両日共に会場は三越劇場で、11時から夕方まで。出演はいずれも春日会の師範で、芝道会よりレベルは上。
   入場は無料、出入り自由。なお、無料なのは出演者が会費を払って出演しているからです。三越劇場については以下のウエブ参照。

     http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/theater/

2009年6月7日
                                  小柴 禧悦(化工会)

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